独自の世界観で富士山を撮り続ける写真家、冨塚晴夫さん。「山中湖写真ギャラリー」のオーナーで、山中湖に居を構える冨塚さんにプロの視点からみた「おもいでばこ」の魅力を語っていただきました。

富士山写真家 富塚晴夫

建築写真家・広告写真家として活動する傍ら山中湖で写真ギャラリーを運営しながら富士山、山中湖の風景写真を撮り続ける。

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27年撮り続けても答えが見つからない「ゴールなき被写体」。
最初は誰が撮っても同じだと高をくくっていたんですよ。

冨塚さんが富士山の写真を撮りはじめたのは27年前とお聞きしました。それまではどういう写真を撮っていらっしゃったのですか?

:アメリカのロサンジェルスで、主に広告写真や建築写真を撮る仕事をしていました。その時は、ハリウッドの中心部でとても賑やかな場所でね。27年前に日本に帰ってきたときに、今度は都会ではなく、自然と一体の生活ができる場所に住もうと思ったんです。山中湖を選んだのは、子どもの頃に住んでいた神奈川県の平塚から見えた富士山の記憶とか、学生時代に遊びにきた山中湖の印象、アメリカに住んでいたときに感じていた日本の象徴としての富士山、そういうものになんとなく惹かれたからでしょうね。でも富士山を撮りたいとは全く思っていなかったんです。

それは意外ですね。どうして富士山を撮るようになったのですか?

:最初のうちは、山中湖に住みながら、週に何回か東京に行って商品撮影などの仕事をしていました。でもバブルの頃、この辺りにリゾートマンションや別荘がたくさんできたおかげで、チラシやパンフレット用の建物写真を撮る仕事が増えたんですよ。パンフレットの表紙は当然、富士山のイメージ写真。最初は他の方の写真が使われていたんですが、そのうち表紙も僕が撮るようになってね。富士山を撮るようになったのはそれからです。案外つまらないきっかけなんですよ(笑)

富士山の写真は、他の風景写真とどんなところが違うのですか?

:富士山はとても難しい被写体なんですよ。最初は、いいカメラがあれば誰でも撮れる、プロの出る幕はないものと高をくくっていたんですが、それは傲慢でした。誰が撮っても絵になる代わりに、撮影者の個性が出しにくい。僕の富士山写真は、周りの景色がメインで、富士山は二次的な存在になっているものが多い。裾野があるやさしい富士山、それが個性といえば個性だと思うんですが、まだまだ答えは見つかりませんね。27年撮り続けても答えが見つからない「ゴールなき被写体」です。

インタビュー中の冨塚さん
山中湖に住みはじめたときは、富士山を撮るつもりはなかったと語る冨塚さん。気さくでやさしい語り口が印象的です。

ギャラリーの内観①

ギャラリーの内観②

1997年に設立した「山中湖写真ギャラリー」。
ギャラリーでは、富士山や山中湖の写真の他、冨塚さんがアメリカ時代に撮影したハリウッドスターの写真もご覧いただけます。

富士山を二次的にとらえた作品例①

富士山を二次的にとらえた作品例②

富士山をクローズアップするのではなく、あくまで風景のひとつとしてとらえるのが冨塚さん流。富士山をとり囲む豊かな自然すべてが被写体になっています。

プロの世界でも活用できる豊富な機能。
「おもいでばこ」として使うだけじゃもったいない、

「おもいでばこ」はどんなふうに使っていらっしゃいますか?

:自分が撮った写真を確認するときや、ギャラリーに来てくださったお客様に見ていただくときに使っています。パソコンを使わずに、すぐにとりこんで見ることができるのは便利ですね。ギャラリーで写真を上映するときに、以前は選んだ写真をDVDに保存しては取り替えなくてはいけなかったんですが、そういう手間もなくなりました。とても重宝していますよ。

ギャラリーでの上映に使われるというのはいいアイデアですね。

:写真教室でも活用しているんですよ。撮影会で生徒さんたちが撮った写真と、僕の写真をとりこんで、「僕はこういうふうに撮ったけど、あなたはこんなところを撮ったんですね」なんていうふうにその場で見比べたり、部分拡大をしてピントの確認をしたり。拡大した写真をずらしながらフレーミングの指導をすることもできます。とりこむときにカメラやメディアを選ばないのも写真教室向きですね。

なるほど。「おもいでばこ」はそんな使い方もできるんですね。

:「おもいでばこ」は、小さくて、どこにでも手軽に持っていけるのがいいですね。ホテルで講演なんかをするときに、いままではプロジェクターとパソコンを持っていって、現地でセッティングをしなくてはいけませんでした。これなら持っていくのも、テレビモニターにつなぐのも簡単なので、ずいぶん負担が軽くなりました。広告の仕事でクライアントにプレゼンテーションをしたり、デザイナーと打合せをしたりするときにも便利だと思いますよ。

プロの写真家さんにそうおっしゃっていただけるとうれしいです。

:「おもいでばこ」というネーミングのせいもあると思うんですが、最初はただ写真を入れて、テレビで見るためだけのものだと思っていたんですよ。でも詳しい機能を知るにつれて、あんなこともできるんだ、こんなこともできるんだと、奥の深さに驚かされました。「おもいでばこ」として使うだけじゃもったいない(笑)これからまた使っていくうちに、新しい利用価値が見つかるんじゃないかと期待しています。

おもいでばこ

おもいでばこを操作する冨塚さん①

おもいでばこを操作する冨塚さん②
「おもいでばこ」は、撮った写真をすぐ見せられるのがいい、と冨塚さん。写真教室、講演会、デザイナーさんとの打合せなど、活用シーンはさらに広がりそうです。

重要なのは撮影する場所とタイミング。
冨塚さんに聞く、富士山写真攻略法

「おもいでばこ」ユーザーに、富士山撮影のアドバイスをいただけますか?

:富士山は綺麗な円錐形なので、360度どこからでも撮れます。そこで重要なのは太陽の向き。午前中に撮るなら東側から、夕方なら西側から撮ると順光になります。逆光や反逆光で撮る場合は反対になりますから、それを理解して撮影場所を選ばなくてはいけません。地図を頭に入れておいて、常に富士山と自分と太陽の関係を把握しておくことが大切です。山中湖は、朝は順光の写真が撮れますし、夕方には逆光で綺麗な夕焼けが撮れる、すばらしい撮影スポットですから、「おもいでばこ」のユーザーさんにも、ぜひ一度お越しいただきたいですね。

撮影するときに何か気をつけることはありますか?

:まずは天気ですね。事前に天気予報を見て、天候を読んで、天気がよくなる頃に撮影に来ることが第一。2〜3日晴れが続くと霞んできてしまうので、雨や雪が降った次の日がおすすめです。また天気がいい日でも朝8時半〜9時頃には雲がついて、夕方まで切れないことも多いので、なるべく早起きをした方がいいと思います。現地に着いたら、すぐに三脚を立てずに、自分の足で歩いていい場所を探すこと。オートで撮るときには、露出に気をつけること。空が必ず入りますから、空に露出が合って富士山が暗くなることが多いんです。

おすすめの撮影スポットを教えていただけますか?

:春に撮影するなら富士市の岩本山がおすすめです。梅と富士山を撮れる有名な場所があるんですよ。桜を撮るなら河口湖。4月以降の富士北麓、南麓から撮る新緑の富士山も綺麗です。夏は赤富士が人気がありますが、朝は山中湖から、夕方は朝霧高原から撮るといいと思います。夕方は温度が上がった後なので、どちらかというと山中湖側から、朝陽が当たりだす頃に撮った方がチャンスが多いです。夏の雲と富士山もいいですね。秋はダイヤモンド富士、夕焼け、紅葉、ススキ…ススキは富士北麓ですね。冬は雪景色、霧氷、星空。代表的なのはそんなところですかね。

少し話をお聞きしただけで、富士山写真の奥深さがわかりますね。今日は貴重なお話を、どうもありがとうございました。

春の富士山
春の富士山。一面に咲いた赤いポピーが新緑に映えてとても鮮やかです。

夏の赤富士
夏の赤富士。風で波立つ湖面の逆さ富士がとても印象的な一枚。

ダイヤモンド富士
山頂に太陽が重なる「ダイヤモンド富士」が撮影できるのは、秋から冬の間だけ。

雪木立の向こうの富士山
雪木立の向こうに富士山の頭だけが見えています。冨塚さんならではの構図ですね。

写真のプロにも満足頂ける「おもいでばこ」について

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