【写真活用専門家 西塔カオルさんご寄稿】写真整理が大変!は思い込みが原因。「見て楽しい」の繰り返しサイクルなら、楽しみつつ整理が進みます。

突然ですが、“写真整理”という言葉を聞くと、どういうイメージを持たれますか?
いざ写真整理をしようと思い立とうとしても、膨大な量の写真やデータに気が遠くなるようなご経験をされた方も少なくないはず。
今回登場いただくのは、おもいでばこアンバサダーズの認定アンバサダーであり、写真活用専門家の西塔カオルさん。忘れがちな写真整理のゴールについての意見を交えつつ、写真整理が苦手だと感じてしまう方に向けてアドバイスをいただきました。


こんにちは。写真整理協会顧問の西塔カオルです。写真活用専門家として、富士フイルムのアルバムカフェプロジェクトや、写真整理協会では講座、テキストを監修しています。

突然ですが、皆さんの写真はどこにありますか?
クローゼットの奥深くにしまわれていたりしていませんか?今は使っていないパソコンに眠っていませんか?
もしそうなら、せっかくの写真はあっても、無いのと変わらないかもしれませんね。そんなお話とともに、写真整理に苦手意識を持つ方に少しでもアドバイスをお伝えできたらと思います。

目次

沢山あると大切にしない?

整理収納を扱う本に「沢山あると大切にしない」というフレーズがあります。
例えばボールペン。あちこちで貰うし、自分でも買う。結局どれも使いきれない上、扱いも雑になりますね、と。確かにそんな経験ありますよね。お気に入りのボールペンを数本大事に使う方が気持ちも良いし、無駄もないというわけです。

これは、写真も同じなのです。

写真が多すぎて管理しきれなかったり、写真データを紛失してしまったりして初めてその大切さに気付くといった方は多いのではないでしょうか。沢山ありすぎるからこそ、大切に出来ていないというミスマッチの状態。それが写真でも起きてしまっています。

大切なのは整然とした整理ではなく、見ること。

写真整理というと、不要なプリントやデータを捨てるとか、順序だてて並べてアルバムにするといったイメージが強いかもしれません。ですがそこに捉われすぎると苦痛になってしまうと思いませんか。

写真整理が物や書類の整理と大きく違うところ。それは、写真はただの紙(もしくはただの画像データ)ではないということ。

そこには、「思い出」が写っているのです。

整理する時には必ずその「思い出」が目に入り、つい手が止まり眺めてしまう。だからこそ、「写真整理は時間泥棒」とも言われてしまうことがよくあります。しかしそれは「あなたの思い」や「家族の思い」が写っている写真だから。
見たからこそ、そのことに気付ける。その時間こそが、実は得がたいものだという発想に変えていただくと良いと思います。

写真はそもそも感情の記録です。カメラのシャッターは、記念写真のようなものを除くと、心が動いた時にパシャっと押しているはず。ポジティブな気持ちで撮った写真を見返すのは楽しい時間となります。その楽しい時間を、簡単に体感して増やせるのが「写真整理」だととらえてほしいのです。

写真をただ片付けてしまうのではなく、いつでも見返すときの楽しいひとときを改めて感じるために、取り出しやすい状態、見返しやすい状態にする。それが本来の「写真整理の目的」ではないかと思っています。

整理しながら共有する

整理を通して一人で写真を見ることはもちろん、整理の途中でも良いので、誰かとその写真を共有するのはオススメです。家族と一緒に楽しんだり、時に遠く離れた祖父母に送ったり。
「整理を早く終わらせよう!」と思うとしんどくなってきます。ところどころにお楽しみタイムを設けながら、自分にあったペースで進めていただくのが良いと思っています。

写真整理が苦手なら、自分をもっと甘やかそう。

そうはいっても、実際には「写真整理、どうしても挫折しちゃう」となる方が多いのも事実。
これは「〜しなくてはいけない」という思い込みが強かったり、そもそも「整理のゴール」をとても高く設定しすぎたりしている場合が多いようです。いわゆる「べき思考」による思い込みで理想が高い状態となってしまっているのです。

写真整理の思い込み

・アルバムは、整然と並んでいるべき
・最も良い方法で、きちんと整理するべき
・写真は全て、まんべんなく整理するべき
・達人や専門家のアドバイス通りに整理するべき

・・・といった具合です。どこかにそんな思いを持ってしまってはいませんか?これらの「〜べき」にとらわれてしまうと、実は写真の整理は進まなくなってしまいます。そうならないためには、まずは少しずつでも取り組んでみた方が良いのです。少なくとも、その少し進めた部分は見返しが出来たわけですし、写真を楽しめたはずだと思います。

そうすることで、「全然出来ていない自分」ではなく「自分なりに出来ている自分」になります。このように、ちょっと考え方を変えるだけで、自分に自信が持てるようになります。

目標はあえて低く。「期間」を区切り短いゴールをたくさん設定。

またゴール設定としては、アルバムにして棚に並べるといった「形」のゴール以外にも、「まずは5年分やればとりあえずゴール!」「10年分やれば終わり!」といったように、「期間」をゴールにするのはいかがでしょうか。
何十年分とためすぎてしまった写真を整理するとなれば、やはり大変。それを終わらせようと思ったら気が遠くなります。このような場合、期間設定をまず短く区切ることがオススメです。

まずは1年分やってみる。もしくは半年でも良いです。そこまでやったら家族で見返して、写真を見ながらあれこれしゃべったりと楽しむ時間(ご褒美)を入れる。そしてまた次は2年目というように気楽に取り組むのです。

写真を大切にしたいと思うあまり、理想を高くし、すばらしいゴールを設定しがちですが、もっと肩の力を抜いたほうが良いんです。

簡単にできることから始めてみよう

写真整理は完璧をめざすのではなく、少しの量からでも取り組んでみる方が何倍も大事なことがお分かりいただけましたでしょうか。では、とっかかりは簡単なことから始めてみましょう。

最初のおすすめは、まずは「家の中にある写真の見える化」をすることです。

プリントでもデータの場合でも、まずは目のつく場所に整理したい写真を出して見える化してあげましょう。撮りっぱなしのSDカードであれば、どこか目のつく場所にまとめる。整理するべき写真データがスマホやパソコンなどにもある場合は、メモを書いて一緒にまとめておく。これをまずすると、不思議なことに「あ、ちょっとやろうかな」という気持ちが増してきます。


「おもいでばこ」を使って整理するのならば、「今月はSDカード1枚分整理する!」と無理のない目標を立てます。
そしてSDカードを「おもいでばこ」に取り込みます。見てみて不要と思った写真はとりあえずゴミ箱へ入れましょう。「おもいでばこ」に取り込んだ写真は、デジカメやスマホで撮影した写真ならカレンダー順に並んだうえで、テレビに接続して大画面で見ることができます。そこまで出来たら、みんなで見るというところまでが1セット。写真をきっかけにあれこれ盛り上がったら、もっとやろうと思う気持ちも沸いてきますね。

写真を整理したいけど、なかなか手がつけられない方へ。

「綺麗だな」「可愛いな」「こんな素敵なところに旅行に来られた」
シャッターを切っているのは、そんな風に心が動いている時のはず。
そして、あとで家族に見せたい、子供と一緒に見たい、未来の私に見せたい・・・そんな思いももちろんあるでしょう。
そこには自分が忘れていた、ささやかだけれど、大事な幸せが写り込んでいたりするものです。
写真を整理するということは、そういう思い出に簡単に出会えるチャンス。

まずはちょっとで良いのです。そんな思い出に出会ってみましょう。

我が家には紙のアルバムもありますが、「おもいでばこ」も愛用しています。「おもいでばこ」の良いところは、紙のアルバムに収まりきらない沢山の写真や動画を簡単に保管できること。
アルバムには入りきらないからこそ、見返した時の発見も多いです。

私の子どもたちは双子の中学生。小さい頃と比べると、家族写真を見る時間は減ってはいますが、写真が身の回りにあることは彼らにとって当たり前となっています。ふと気づくと二人で写真を見てゲラゲラ笑っていることも。
「去年の今頃、ここ行ったでしょう!」「この季節の旅行ってどんな服持っていけばいいっけ?」といった日常的な会話をきっかけに、自然に「おもいでばこ」のリモコンを操作して自分たちで確認するんです。すると、いつの間にか脱線。小さい頃のオモチャの写真を探す遊びになり、「こんなのあったんだ」とか「このぬいぐるみ、今よりずっと綺麗」とか、一見どうでも良いようにも見えますが、目がキラキラしています。

子ども達が自分自身では全然覚えていない写真もたくさんあります。それらも含めて見ることで、自分の過去の経験として蓄積されていくのでしょう。「こんなに楽しい経験してる!」「周りにこんなに愛されている」。そんな発見は大人でもあります。もちろん子ども達にとっては大きな糧になると思います。また、そんな様子を見るのは親としても何とも楽しい時間です。

一人で写真を見るのも楽しいですが、誰かと見るのはますます楽しい。
「おもいでばこ」なら思い出の写真をテレビの大画面で自由自在に見ることができるので、家族そろって見ることができるのも魅力ですね。

写真整理で大切なこととして「写真を見ること」も忘れちゃいけないと思います。このことを今年はもっと発信していけたら!と思っています。

写真整理協会顧問。アルバム大使マスター講師。写真整理やアルバム作りに関する様々な講座を提供。
写真整理の冊子「写真のきもち」も自ら制作。上級写真整理アドバイザー/認定おもいでばこアンバサダー。

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