10 年前の私は増え続ける写真と動画の整理に頭を悩ませていました。
特に動画は厄介で、ビデオカメラやデジカメに加え iPhone でも撮るようになり、ストレージ不足が常態化。応急処置的にパソコンへ移動すると手軽に見返せないジレンマ。
娘の写真や動画を撮るのは楽しいのに撮った後はストレスを感じていました。

だから「おもいでばこ」を知ったとき、写真も動画も保存できてテレビで見られるなんて神!と感動したのを覚えています。
とはいえ、気軽に買える金額ではなかったので夫を説得することを想定して「おもいでばこを欲しがる 4 つの理由」という記事をブログに公開しました。
その記事が思いのほか好評だったので、仕事用に会社で「おもいでばこ PD-100S/W」を導入。

デジタルフォトアルバムの調査を兼ねて 3 ヶ月ほど使用すると、ますます自宅用にも
欲しくなり、「おもいでばこ PD-1000」を夫に懇願して迎え入れました。

これで写真も動画もラクに管理できると安心していたところ、思わぬ出来事が。
家族でスライドショーを見ていると、当時 6 歳の娘が「これ、うごかないよ!うごくしゃしんがいい!」と不満を漏らしました。テレビの画面では人物が動いたり話したりするものと娘は期待していたようです。

以来、我が家の「おもいでばこ」は動画専用に。
写真は連写など似た構図が多かったですし、動画の取り込みによってスマホやタブレット、メモリーカードの空き容量を多く確保できたのも助かりました。

何よりの幸せは「おもいでばこ」が家族団らんのひとときをもたらしてくれたこと。
「おもいで散策」機能でランダムに表示される動画は宝箱のようで、次に何が映るかワクワクドキドキ。
学校行事や旅行のようなイベントよりも、日常の何気ないシーンの方が娘たちにウケが良く、「撮っておいて良かった」と報われた気持ちになりました。
撮った後も楽しめるようになり、家族の思い出はどんどん増えていきます。

iPhone で動画を撮れば撮るほど「おもいでばこ」への依存度は高まりました。
HEVC 形式や 4K 動画も取り込めるようになり、パソコンでの変換不要で、その日のうちにテレビで鑑賞できるように。
当時は iPhone では普通に再生できても他の機器ではうまく再生できないことも多く、「おもいでばこ」の安定感は頼もしく感じました。
そうして次女が 10 歳を迎える頃には、10 年分の家族動画すべてが「おもいでばこ」に。

10 年分に絞ったのは、長女が赤ちゃんの頃の動画に自分がいないと拗ねた次女のため。その頃はまだ「非表示アルバム」機能が無かったのです。
娘たちは幼い自分が写る過去の映像が大好きでお気に入りのシーンは繰り返し見ていたので、その様子を動画に残しておけば良かったと今は思います。
「おもいでばこ」を囲むのは当たり前ではなく、かけがえのない時間だったのだから。

その後、2台目(PD-1000)の容量がいっぱいになり、3台目(PD-2000)を購入。引越し機能を使えばデータを簡単に移行できるのに、日々の忙しさから先延ばしにしてしまいました。

子どもたちの成長と共に撮影の機会も「おもいでばこ」を使う頻度も減り、少し寂しさを感じていた矢先、遠方に住む母が急逝。
遺影に使う写真を探すと、生前の母が写っているのは 7 ヶ月以上前のもの。
もっと撮っておけばよかったと悲観に暮れて、私はしばらく過去の思い出を見られずにいました。

四十九日が過ぎ、少し心が落ち着いた頃に「おもいでばこ PD-1000」の電源を入れると、起動しません。思い出が見られない喪失感に苛まれ、後悔の念が押し寄せてきます。
おもいでばこにはバックアップ機能があるのに私はハードディスクを用意しておきながら接続していませんでした。データ移行もバックアップも先延ばしにしていた自分の不甲斐なさから、すぐに3台目を使い始める気持ちにはなれず。
家族が「あの動画が見たい」と言ってもiPhoneで見せるだけ。
かつての「おもいでばこ」のある生活からは遠ざかっていました。
転機が訪れたのは、母の遺品整理に向き合ったとき。

古いアルバムを家族で見返し、思い出を分かち合う喜びが身に沁みました。
同時に、もし自分に何かあったとき、写真や動画が私のiPhoneにだけ残っているのは家族を困らせるかもしれないと強く感じたのです。
そこでようやく3台目「おもいでばこ PD-2000」を起動し、バックアップ用のハードディスクを接続。

DVD 取り込み用の「おもドラ」も購入し、家族の思い出を再び集結させています。
バックアップがあれば、娘たちの名前をつけたアルバムやお気に入りの分類もそのまま復元できたはずと、悔やむ気持ちは残りますが、見られずにいた動画が再びテレビ画面に映し出されて懐かしく、安堵に包まれました。

役目を終えた 2 台目(PD-1000)はデータを消去してから処分する予定です。
安心・安全のためだけでなく長く思い出を支えてくれた存在と納得のいく形でお別れしたいから。

「おもいでばこ」を迎え入れたこの 10 年で、家族の暮らしもデジタルとの付き合い方も大きく変わりました。
けれど、写真や動画におさめた思い出を独り占めせず、家族がいつでも見返せるように残していきたいという気持ちは、今も変わりません。
3台の「おもいでばこ」がその思いを支え、母との突然の別れを経験してより強くなりました。
リビングにいけばいつでも思い出に触れられるし、ハードディスクをつないでおくだけで自動的にバックアップされる「おもいでばこ」の手軽さは忙しい毎日の中では非常に心強いものです。

失う恐怖や不安にとらわれず、次の 10 年、その先も「おもいでばこ」がある生活を大切に楽しんでいきたいです。
中村愛子
スマホの写真や動画をどう整理するか活用術を日々模索し、ブログやnoteで発信する主婦ブロガー。
これまでに600以上のアプリや製品を試し、200を超える写真プリントサービスを利用。
写真整理のために購入したデジタル機器を含めると総額100万円以上。
年々多様化する写真サービスへの興味は尽きません。


