「いつかやらなきゃ」と思いながら、見返すことも少なくただ増え続ける大量の写真。それらを「今、そして将来も楽しめる宝物」へと変えてくれる活動が、東京・渋谷で行われています。
主宰するのは、元インテリアコーディネーターという経歴を持つ山田寛子(やまだ・ひろこ)さん。紹介だけで50名以上の生徒が集まる彼女のもとでは、バラバラになった古い写真や子どもの作品などを高性能スキャナーでデジタル化し、整理する「スキャンカフェ」が開催されています。今回は、その現場を取材しました。
「飾る」前に「選べない」。写真整理の道を選んだ理由
山田さんはもともと、「スクラップブッキング」の講師をしていました。しかし、教室で生徒さんたちと向き合う中で、ある「困りごと」に気づきます。
「皆さん、来て3時間くらい写真選びに困るわけなんです。写真の整理さえできていれば、いつでもスクラップブッキングやフォトブック作りは楽しめるのに」。
その後、写真整理アドバイザーの資格を取得。活動の軸を、整理で困っている人を助けることへと移しました。

あえて集まってスキャンする理由。それは「子育ての追体験」

会場には複数のスキャナーが用意され、この日集まった5名の参加者が思い出の品を手に作業を進めていました。
「家で一人だと『あぁ、この時こうだったな』って思い出に浸っているうちに時間が過ぎちゃう(笑)。でも、ここなら寛子さんがいてくれるし、みんなも手を動かしているから『私もやろう!』って思える。10時から15時まで、おしゃべりしながらだとあっという間に終わっちゃうのが不思議よね」と生徒さんは語ります。
そんなアットホームな空気感の理由は、山田さんがこの活動をあえて「友人の友人まで」という信頼の届く範囲に限定しているから。似た環境で育児をしてきた仲間だからこそ、写真整理の時間は、当時の記憶を分かち合う「子育ての追体験」の場にもなっているのです。中には、PCを忘れてお喋りだけしに来るという方がいるほど、この場所は参加者にとって心地よい居場所となっています。

旅行のパンフレットや習字のスキャン…「アナログ」が記憶をつなぐ
スキャンするのは写真だけではありません。お子さんが書いた習字や旅行のパンフレットも読み込むことを勧めており、用途に応じて様々なタイプのスキャナーを使い分けています。


「旅行のパンフレットが1枚あるだけで、その時の空気感とか、どこに行ったのか、写真以上に鮮明に蘇るんです」と山田さん。生徒さんも「場所を取る大物も、データにすれば思い切って片付けられる。もう『おもいでばこ』にあるから大丈夫っていう安心感があるので、元の原稿は捨てちゃいます(笑)」と笑顔を見せます。
しかし、ただスキャンするだけでは「データ地獄」に陥りかねないと山田さんは警鐘を鳴らします。そこで、現場で実践されている「ひと手間」のTIPSを教えていただきました。
• 検索性を高める「白いラベル」
「名前・学年・日付」を大きく書いた紙を写真の束の先頭に挟んでスキャンします。テレビの大画面にパッとラベルが映り、前後の写真がいつのものか一目でわかります。

• 二重作業を防ぐ「よくできましたシール」
スキャンが終わったアルバムの裏には100円ショップのシールを貼ります。剥がれやすい付箋ではなく、一年後の自分が見ても迷わないようシールを貼るのが鉄則です。
• LINE写真はその日のうちに
LINEでダウンロードすると撮影日が「保存日」になってしまうため、届いたらすぐにスマホへ保存します。

「一人で管理するデータ」から「家族をつなぐ場所」へ。おもいでばこ愛用者が増える理由
スキャンカフェでは、体験に来た方のほとんどが「おもいでばこ」の購入を決めていきます。山田さんが強く勧めているわけではなく、他の方が活用している姿を見て自然と欲しくなるそうです。
山田さんご自身も、かつてはCDやハードディスクに保存していましたが、パソコンでの読み込みに時間がかかることが悩みでした。しかし「おもいでばこ」なら、スマホ、デジカメ、さらにはブルーレイや古いビデオから変換した動画も「テレビをつければ全部見られる」状態を簡単に作れます。
ある生徒さんは、ITに強いご主人がデータ管理をされていたため、当初は「おもいでばこ」なんて必要ないと言われていました。しかし、「主人が管理していると、自分の見たい写真が自由に見られず、家族の思い出が独り占めされている」と気づき、説得して購入。今は、ご主人自ら喜んで写真を活用されています。データとして「保管」するPCと、家族みんなで「楽しむ」インフラとしてのおもいでばこ。この役割の違いが、家庭に笑顔を増やしています。

最期の時間を笑顔に変えた、病室での「おもいで散策」
「おもいでばこ」がもたらすのは、日常の会話だけではありません。山田さんご自身にも、忘れられない体験があります。
それは、写真が大好きだったお父様が亡くなる前のこと。
すでに意識がなく言葉を交わすことはできませんでしたが、病室に「おもいでばこ」を持参し、みんなで写真を囲みました。
病室に流れる家族の笑い声や、「懐かしいね」と振り返る温かな時間は、きっと父にも届いていたはず。
みんなで涙を流して笑って、また思い出しては笑って――。あの日の病室は、悲しみだけではなく、家族の愛と感謝に包まれた「最高の最後の家族団欒の時間」となりました。
こうして家族みんなで思い出を振り返るのも、旅行の景色や家族の何気ない日常、子どもたちの成長を、たくさん残してくれていた父のおかげだと感じています。写真はただ残すだけでなく、家族をもう一度つないでくれるものなのだと、父が教えてくれました。あの時間は、父からの最期の家族へのプレゼントでした。
デジタルの「困りごと」を丸ごと解決する安心感

山田さんは、講義形式ではなく一人ひとりの「今わからないこと」にその場で答えるサポートに徹しています。写真整理だけでなく、ブルーレイの変換方法を調べたり、卒業式のプログラムから動画まで一つの場所で見られるよう奔走します。
「やっぱり、寛子さんみたいな人がいてくれないと何も始まってない。寛子さんがいないと、ただお菓子を食べにきているだけになっちゃうよね!(笑)」と生徒さんは全幅の信頼を寄せます。
この日も、スマホから写真が送れずに手が止まった方がいました。
【注意ポイント】 スマホの設定でiPhoneの場合は「写真」への「フルアクセス」を許可、Aidroidの場合は「写真と動画の権限」が「常にすべて許可」になっていないと、「おもいでばこ」に写真や動画を送ることができません。こうした小さなつまづきを「できるようになるまで」伴走する山田さんの存在が、参加者の大きな安心感につながっています。
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写真整理は、誰かの喜ぶ顔を想像して、その想いを形にする時間

「子どもが喜ぶ、夫が喜ぶ、親が喜ぶ……」。家族の笑顔を想像しているからこそ、生徒さんは膨大な写真に向き合う作業を軽やかに楽しんでいます。
「人のために尽くすことは、決して当たり前ではなく『学び』が必要なことだと思う」という生徒さんの言葉に、深く頷く山田さん。 「整理を終えた方が『あぁ、やってよかった!』と笑顔を見せてくれる。その姿に立ち会えるのが一番のやりがいです」と微笑みます。
きっと寛子さんは、「誰かの喜び」をまるで自分のことのように喜べる方なのだと思います。だからこそ、これほどの熱量を持って、共に楽しみながら伴走できる。その優しい眼差しを見ていて、深く納得しました。
編集後記:まとめ
写真整理とは、今の自分、そして未来の家族へ贈る「プレゼント」です。片付けられずに溜まるだけになっていた思い出も、信頼できるプロの知識と仲間がいれば、人生を肯定し、愛おしむ時間へと変わります。
もし、あなたの家にも眠っている思い出があるのなら、まずは1つからでも、誰かと一緒に整理することから始めてみませんか?その先には、家族との新しい会話や、心が軽くなるような明日が待っているはずです。





