「おもいでばこ」が“思い出箱”になる日まで

娘を授かったのは、夫婦共に37歳のとき。

待ちに待った待望の赤ちゃんだったので、ひっきりなしに娘の写真を撮り続ける“浮かれた親”になるだろうなと想像はしていましたが、予感は的中。
カメラが好きな夫は本格的な一眼レフを構えて、四六時中娘とべったりの私はスマホで、この一瞬を逃すまいと、娘の成長を撮影し続けました。
「貴重な赤ちゃん時代はあっという間。だからたくさんの写真を撮りましょう」は先人たちからの指南です。

ふにゃふにゃした新生児期も、丸々と太った赤ちゃん期も、ハイハイする姿もよちよち歩きも……。
その姿を記憶だけでなく記録にも止めようと、親としては必死。ただ、後々わかってきたことは「愛おしい時期は赤ちゃん時代だけじゃないこと」。1歳をすぎても、2歳をすぎても、切り取りたい瞬間は増すばかりです。

スマホの写真フォルダーはもちろん子どもの写真で容量いっぱいになり、せっせとクラウドサービスへ画像を移し、スマホから削除していくのですが……。
少々面倒な上に、一度移行するとその写真を目にする機会も減ってしまいます。
クラウドサービスにログインして過去に遡って画像を探すという作業は「いつでも気楽に子どものかわいい画像を目にしたい」という思いと、多少のズレがあるような……。
身近なママ友の中にはIT事情に疎く、クラウドサービスそのものをよく知らない人も、まったく信用できないと考えている人もいます。
そんな方に限って、スマホを紛失した、壊した…という思いがけない事情ですべての写真を失ってしまうなんて最悪の事態も……。

写真フォルダーにおさまりきらないほどの笑顔の記録、全部残したいけど……


つまり、子どもの写真、家族写真が増え続ける私たち全員が直面する問題は、
○写真が増え続けるので、容量不足でスマホに保存できなくなる。
○サーバーやハードディスクに保存すると、目に触れる機会が減って寂しい。
ということ。どちらも解消するための魔法があれば良いのにと願いつつ、そんなワガママ叶うわけないか……と思っていたときに私が出会ったのが「おもいでばこ」でした。

「おもいでばこ」の特色は、なんといっても保存した画像や動画をテレビで見られること。大容量のハードディスクでありつつ、テレビに接続できるなんて……。
インターネットで知って以来「そんなアイテムがあるんだ!」とびっくりした私は、早速購入を決めました。

我が家にやってきた「おもいでばこ」の第一印象は「本体がコンパクトで小さい」ことと「リモコンが単純明快」ということ。スマートテレビのボタンだらけのリモコンや、スマホ画面のスタイリッシュさに慣れていると「ちょっとレトロでかわいい」と感じるテイストです。
でも、これこそが「おもいでばこ」の“売り”の一つと、後々知ることとなります。

つまり、小さい子どもからお年寄りまで簡単に操作できる単純さと使いやすさが、リモコンに現れているのです。
「おもいでばこ」とテレビの接続は難しいものではありません。説明書の指示に従い操作し、Wi-Fiを繋ぎ、いざスマホからデータを移行。
これで、ハードディスクに保存されたんだとういう安心感と共に、ワクワクしながら早速テレビに画像を映し出してみると……。

「テレビに写真が映ってる!」飛び上がって喜んだのは、小さな娘だけではありません


その瞬間、テレビ画面にも、それを見ている私たち家族にも笑顔が広がりました。

「おもいでばこ」には、娘の成長記録や家族写真を中心に保存したのですが、まさにテレビ画面に現れたのは、娘がお腹の中にいるマタニティーフォトから、今日までの愛おしい日々。
始まったばかりの私たち家族の歴史が、まるで映画のように映し出されていたのです。

普段、スマホで写真を見ることに慣れてしまっている私たちとって、大画面に映し出される画像はとても新鮮でした。今どきのスマホも、夫愛用の一眼レフカメラも画素が高く、とても画像がきれいなので、大きなテレビ画面で見るとその美しさがさらに鮮明になります。
とくに旅行先の南の島の海の様子などは、ずーっとテレビで流して見ていたいねと、家族でうっとりしました。

カレンダーから日付を選んで画像を見るのはもちろん、デジタルフォトフレームのように画像を切り替えながら映像として流していくのもすてきな楽しみ方です。
私は、動画と画像を交えながら、さらに日時もランダムで流すのが好み。普段スマホではどうしてもお気に入りの画像ばかり見てしまうのですが、思いがけない思い出と出会えるので、ランダム再生は嬉しい機能です。

私と夫にとっては何から何まで記憶に焼きついた大切な思い出ではありますが、娘にとっては未知である自分の赤ちゃん時代。テレビの画面に映し出された自分が泣いている姿も、沐浴してうっとりしている姿も、すべてが新鮮で目をキラキラと輝かせていました。
スマホから削除してしまった画像や動画も「おもいでばこ」には入れたので、まるで宝箱のように楽しい発掘があります。

写真を保存するだけ?テレビで見るだけ?……魅力はそれだけではないのです。


「おもいでばこ」に映し出される写真を見ながら、私たち親は、どうしてこんなにも子どもの写真を撮るのだろう……とふと考えました。
家族の思い出を、子どものかわいい姿を残したいから?
もちろん、そうです。
ただ、それだけではないんだな、と私の隣で娘が目を輝かせている姿を見て思いました。

生まれる前から、生まれてきてからもずっと、「わたしはこんなにもたくさんの人に愛されて、大切にされてきたんだ」と、娘が感じてくれたら嬉しいのです。
成長し、長い人生を歩む中で困難に遭遇することも少なくないでしょう。
そんなときに娘の中で培われた「私は家族の宝物」という礎は、彼女を支える勇気の一つになるはずだと、私は本気で思っているのです。

もちろん、スマホで写真を見ることも手軽な楽しみの一つではありますが、かつて家族団欒でテレビ番組を観たように、テレビで映し出される思い出を家族みんなで共有するのは、すてきな風景だと感じています。

「おもいでばこ」でつづられる、私たちだけのファミリーヒストリー


これからも増え続ける家族写真が、「おもいでばこ」に追加されていきます。その楽しい未来を想像するだけでワクワクします。
写真が増えるだけでなく、「おもいでばこ」を通して見ることで、家族の会話が増え笑顔がひろがっていくのでしょう。
ハードディスクの容量が埋まっていくことすら、とても楽しみです。
つまり、「おもいでばこ」は、まさに私たち家族の「思い出箱」。

家族の記録と記憶をつなげてくれる、大切な宝物なのです。


〈南々井 梢〉
小説『コカンセツ!』で第6回トクマ・ノベライズedge新人賞を受賞。
『35歳の少女』、『弥生、三月』のノベライズほか、小説、漫画原作、ゲームシナリオ、戯曲、舞台脚本等を手掛ける。
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