2019年3月、3年保証プレミアムモデルという形で、新たなラインナップが追加された「おもいでばこ」。
2年ぶりの新モデル追加に際し、製品企画担当のおもいでばこチーム・根本将幸がおもいでばこブログに再登場。その特長やメリットとともに彼が語ってくれたのは、デジタル写真のあるべき姿を模索し続ける情熱、そして「写真を撮ること、見ること」に対する真摯な姿勢でした。
ユーザーの喜ぶ姿を見られる幸せ
―「おもいでばこ」、好調ですね。
はい、実は2018年12月は「おもいでばこ」の発表以来、もっとも多くの台数を、ユーザーさんにお迎えいただきました。
多くのユーザーさんが、SNSやブログに、写真を見られた喜びの声を投稿されているのを眺める機会が増えて、すごく幸せに思います。「おもいでばこ」のコンセプトである、写真を見返す喜びや、家族の写真を「おもいでばこ」に集めよう、というメッセージに賛同していただく方が増えている手応えを感じています。
幅広い年代の方がスマホで写真を撮って楽しむっていう使い方が圧倒的に増えていますが、そこには見過ごされている大きな課題があるな、と改めて感じています。
―どういうことでしょうか?
先日、あるご家族に「おもいでばこ」を初めて使っていただこうという企画で取材したときに、その家族の若いパパさんが、「スマホだけではなく、デジカメでも写真を撮るようにしています」とおっしゃっていたんです。理由を尋ねると「写真はデータで残すだけじゃなくて、プリントもしたいから」と。びっくりしましたね。そのパパさんにとって、スマホの写真と、デジカメの写真は完全に切り離されているんです。デジカメの写真ならSDカードの中のデータをプリントするつもりなのでしょう。ただスマホ(で撮影・保存した写真)に関しては、プリントはもちろんデータをスマホから取り出して保存するなんて、そういう意識にもなかったんです。
―撮影する機器がスマホに変わっただけではなく、その先も変わってしまっていたと。
はい。スマホで見る写真の一部をLINEなどのSNSグループで共有するという世界と、プリントされた写真だけを見る世界、それが撮影機器の段階でわかれてしまっている。つまり、家族の中でも、スマホを持っている人と、持っていない人とでは、写真を見れる家族の間に格差ができてしまっていたんです。
ショックであると同時に大きな発見でした。
―そこで「おもいでばこ」の出番!
はい、そんなご家族に「おもいでばこ」を使ってみていただいたら…という企画だったんです。
―ご家族の反応はいかがでしたか?
家族みんなが、もうずっと喜んでいるんです!お子さんからひいおばあちゃんまでの4世代のご家族だったんですが、パパママとおじいちゃんおばあちゃんそれぞれの持っているスマートフォン4台、パパのデジカメで撮った写真からいい作品を選んで集めて、みんなで見返し始めました。
するとどうでしょう、5歳のお孫さんは一枚一枚、写真を見てそのときのエピソードを語り、それを聴いて90歳のひいおばあちゃんはニコニコしていて、まわりの家族がそのときはああだったねこうだったねっていうエピソードが次から次へとでてきて、ずっと会話が途切れない。
―最高の風景じゃないですか!
それはもう嬉しかったですねー!
今、写真がそれぞれの端末の中に整理もされずに閉じ込められている、という状況が非常に多いと思うんです。
―デジカメで撮ってもデータはSDカードに入れっぱなし、なんていうのもよくある話です。
そういう状況って、もはや「写真の価値」が失われているようなものだと思うんですよね。それを「おもいでばこ」というプロダクトがいい方向に変えてくれる…そんな瞬間が生まれるのを目の当たりにして、ああ、作ってよかったなって…ちょっと泣きそうになりましたね。
「ストレージ」ではなく「アルバム」であること
ー作り手としてこんなに幸せなことはないですね、泣きそうになる気持ち、わかります。
私がこの「おもいでばこ」を担当した時、製品ジャンルとして「デジタルフォト・アルバム」という名前をつけたんです。「ストレージ」ではなく、デジタル写真の「アルバム」だよ、と提案していこうと。それが今に繋がっているのかなと感じました。
―と、いいますと?
ストレージっていう言葉には「何でもかんでも放り込める保管庫」というような印象がありますけど、「アルバム」という名前のものをそんな使い方しないですよね。
今の人って紙焼きのプリント写真を貼って作るアルバムってあまり使わないかもしれないですけど、そこにはすごく写真にとって大切な過程があるんです。
このアルバムは誰のため、何のために作るのか、そこにどういう写真を収めるのか考えて選びますよね。この「選ぶ」という行為が、アルバムの一番の良さだったんです。自動でただストレージに投げ込むのではなく、アルバムの良さである「選ぶ」という行為を、デジタル写真という分野でデザインできないかなと思って作ったのが「おもいでばこ」だと言えます。
見るために撮る…アルバムに「選んで残す」作業の重要性
ーなるほど、「選ぶ」ということはそんなに大事なことだったんですね
私が小学生ぐらいまでは、母親がアルバムに写真をまとめていたんですが、デジタル写真のデータに変わった今は、その管理はパソコン上に変わりました。一方で、あまりデジタル機器に詳しくない世代の人が具体的にどんな写真管理をしているかって言うと、単にメモリーカードからパソコンのハードディスクにコピーして、メモリーカードの容量を空けていただけっていうのが、とっても多いんです。
ーわかります、わかりすぎます…
結果、SDカードの容量を空ける=写真管理になっていて、それまでのアルバムにまつわる大事な過程をすべておざなりにしていたのかなって思います。今では個人のスマホの中に写真を閉じ込めるっていうことが当たり前になってしまっていて、やっぱりそれだと寂しい・困る、と気づいた方々が「おもいでばこ」に辿り着いて、使っていただいて、おすすめいただく、っていう流れができているのかなあと思います。
ー「おもいでばこ」によってデジタル写真がアップデートされると同時に、写真本来の価値を取り戻す、といった感じでしょうか。
写真整理アドバイザーの浅川さんが以前当ブログのインタビュー記事で「写真整理を家族のイベントにしよう」と提案されていて(https://omoidebako.jp/blog/senior-interview-asakawa2/)まったくその通りだなと思いましたね。ひとりでやってると飽きちゃうし、続かないですよね。パソコンの写真整理なんてそんなものだと思っている人が多いんじゃないでしょうか。やったところでその結果を誰も楽しんでくれるものでもないし…
ーそれが「おもいでばこ」だったら楽しくなることは、既に証明されていますね。
よく「なんで、おもいでばこって自動で写真をスマホからとりこまないの?」って言われるんですけども、おもいでばこが自動でスマホの写真を取り込んでいってしまったらそれはもう「おもいでばこ」じゃなくなると本気で思います。
ー写真の持つ楽しみを奪うことになってしまうんですね。
みんなで見るための機械に選んで入れる、というルーチンがあるから「おもいでばこ」なんだと思いますね。そうじゃないとただのフォトストレージになっちゃうでしょう。それだと、子どもに自由に見せられなくなる方もいると思いますし(笑)
フォトストレージとおもいでばこの違いっていうのは、ここに「アルバム」があって、誰かに楽しんでもらいたいっていう心です。
ー「おもいでばこ」の心…!
選んで保存することで、「おもいでばこ」に喜んでもらえる写真をいれよう、逆に言うと誰かが気まずくなるような写真は入れないでおこう、となりますよね。それこそが写真整理のいちばん重要な第一歩で、「おもいでばこ」の根幹にあるんです。
ー残しておく写真を自分で選ぶことが大切なんですね。
まさにそうです。あとで残したものを見るために撮るんですよ。やっぱり見なければ意味がありませんから、写真は。
例えば昔の写真に写っている若かりし頃のおばあちゃん・おじいちゃんがいて、その写真を見て語られるエピソードと、その語らいの場こそが、宝物だと思うんですよね。選んで残した写真には家族の絆の確認だとかコミュニケーション不足だとか、そういった課題を解決する力があるんだ、ということを「おもいでばこ」を通じて引き続き訴えていきたいな、と思いますね。
クラウドにはできないこと=写真の解放
ー「おもいでばこ」を作ることは、写真の本質と向き合うことなのかもしれませんね。
確かに最近「写真とは?」みたいなことをよく考えるようになっています。
もともと写真ってすごくプライベート、パーソナルなものですよね。それをみんなのものにする、すなわち写真を共有物にすることが、プリントやフォトブックを作ることなんだと思います。「みんなでここに写真を集めよう」と行動することで、写真は初めて「誰かだけのもの」という枠から解放されるんじゃないかなって思うんです。
ー写真を解放…
デジタル写真という分野でこれをできるのが「おもいでばこ」ですよ。おうちの中で写真を集められるハードディスクだからこそ、写真をその枠から自由に解放できるんだ…と最近改めて思いますね。
写真がここにあって、それを誰もが簡単に見たり取り出せる。「おもいでばこ」を使って解放することで、デジタル写真は本来あるべき写真の価値を取り戻せるんじゃないかと思っています。
新しい「おもいでばこ」開発秘話
ースマホで撮るデジタル写真全盛の時代における「おもいでばこ」の意義がよくわかりました。では、ここで新しい「おもいでばこ PD-1000S-LX」について伺いたいと思います。まず、開発の始まりについてお聞きしたいのですが。
企画の正式なスタートは今から4か月前でした。短く感じるかもしれませんが、バッファローとしては結構当たり前のスピード感なんですよ。ただ、スタート前から「これはおもいでばこに使えるかも!」といった検討や調査はずっとしていました。
ーそれだけのスピード開発となると、かなり苦労もあったのでは?
そうですね…今までは小さいチームの中のリソースだけで頑張っていたところがあったのですが、今回の商品に関しては、結果として部署や部門を横断した大きいプロジェクトになりました。
他のプロジェクトを管轄する部署やカスタマーサポートなんかとも連携することで、新たな機能・サービスを実現出来たと思います。
従来のハードディスクと新モデルに搭載されているSSHDは特性が違う部分があって、そこの部分の調整には案外(手間が)かかったなあ。
SSHDと「おもいでばこ」のいい関係
ー新モデルに採用したSSHDについて教えてもらえますか。
ちょっと専門的な話になってしまうかもしれないんですけど、「おもいでばこ」は基本的にはデータベースで動いている機械です。大きな写真のデータベースに対して「今月の写真見たいよ」とか「あのアルバムが見たいよ」「さっき取り込んだ写真見たいよ」っていう様々な問いかけを内部ではしていて、その回答を私たちは見ている、という処理です。そういった処理に対して、SSHDはよく使われるデータをフラッシュメモリーで高速アクセスできることができる。使っていくごとにSSHD自身が自己学習してどんどん効率的な配置にしていくという特長をもっています。また、このSSHDはドライブメーカーが高信頼性をうたっているので、それなら通常よりも長期保証が実現できるな、と。
それは「おもいでばこ」にとって、より適したディスクを選ぶことができたという自負でもあります。
※SSHD(ソリッドステートハイブリッドドライブ)=「HDD(ハードディスクドライブ)」に「小型のSSD(ソリッドステートドライブ)」を組み合わせ、大容量と高速処理の同時実現を目指した記憶デバイス。
3年保証・データ復旧・みまもり合図
SSHDを採用したことで、より安心してお使いいただけるように、メーカーとしての3年保証を実現した、というところは大きいですね。また、バッファローではデータ復旧事業というのをやっていて、保証期間内は軽度の論理障害であれば修理・復旧を無償でやっています。メーカーとしての保証が3年なので、その期間内であれば軽い障害※に関してはしっかりとサポートいたします。
▼「バッファロー正規 データ復旧サービス」の詳細はこちら
※バッファローのデータ復旧サービスは、保証期間中は軽度の論理障害は無償扱い。
ー家族の思い出を長く保存してくれる製品だから、長期保証は嬉しいですね。
もうひとつ、バッファローの「みまもり合図」という、内蔵ドライブの劣化を診断するサービスが搭載されています。例えば、大切な思い出を保存したディスクが劣化してきたり、内部的に不良セクタと呼ばれるおかしくなってしまった部分が増加してきたとき、「おもいでばこ」の画面上で合図を出してくれます。
「みまもり合図」の画面が出たときは、バッファローのサポートセンターへお電話をいただき、画面のメッセージ内容をお伝えいただければサポートスタッフの方で状況を把握して、より的確なサポートが迅速にできるようにしています。
ハードディスクはずっと使っているといつかは壊れるものです。壊れてしまってから気づくのではなく、ディスクの状態を常に監視して、見守って、手遅れになるその前に「おもいでばこ」自身が適切な合図を出してくれる、ということですね。
▼「みまもり合図」の詳細はこちら
「おもいでばこ」は新しい写真体験のプレゼント
ー今回のPD-1000S-LXリリースにより「おもいでばこ」は3種類になりました。それぞれの特長といいますか、おすすめの使い方はありますか?
スタンダードモデルのPD-1000S、より大容量のPD-1000S-L…というところでしょうか。とはいえ、どのモデルも機能的には同じように使えるのでご安心ください。
新しいPD-1000S-LXについては、高性能なSSHDと長期保証がプラスされて、より快適に、より安心にお使いいただけるプレミアムなラインナップと考えていただければ。
使い方に関しては、家族の写真を…というのはもちろんですが、例えば結婚や出産のお祝いにプレゼントとして…というかたちで活用いただいている方もたくさんいらっしゃいます。「おもいでばこをプレゼントされて嬉しかった!」というお声も届いていますよ。
これって、単にモノをあげるっていうことではなく、“「おもいでばこ」を使ったことで得られた素敵な体験を、あなたにも体験してほしいから”っていう思いが込められているんですよね。そんな風に「おもいでばこ」を選んでもらえるのは、私たちメーカーにとっても大変嬉しいことです。